悪玉菌はなぜ必要?悪影響なのに、なぜいるの?

腸内には、体に悪影響を与える「悪玉菌」が存在しています。

悪玉菌は、腸内で有害な物質を作り出し、腸の働きを低下させたり、免疫力を低下させたり…「悪」のイメージが強いでしょう。

しかし、悪玉菌が全くなくなると腸内環境のバランスが崩れ、かえって健康に悪い影響を与えることがあります。

この記事では、なぜ悪玉菌が必要とされるのか、なぜ腸内には悪玉菌がいるのか、その意外な役割と、善玉菌とのバランスについて解説していきます。

悪玉菌とは?役割と影響

腸内には、善玉菌が2割、日和見菌が7割、悪玉菌が1割の割合で存在すると言われています。

悪玉菌は、腸内で腐敗物質や有害な物質を作り出すことで知られています。

代表的な悪玉菌として、大腸菌(病原性のもの)、ウェルシュ菌、ブドウ球菌などがあります。これらの菌は、消化の過程で発生する未消化物をエサにして繁殖し、腸内で腐敗物質や毒素を生成します。

悪玉菌が増えすぎると、以下のような体への悪影響が懸念されます。

  • 腸内環境の悪化:悪玉菌の増殖により腸内で腐敗物質が増え、腸内環境が悪化する
  • 便秘・下痢:腸の動きを乱し、便秘や下痢を引き起こすことがある
  • 免疫力の低下:腸内環境の悪化により、免疫機能が弱まることがある
  • 体臭や口臭の原因:腸内で生成された腐敗物質が血液に入り、体臭や口臭に影響

腸内環境を健やかに保つためには、善玉菌が優勢な状態を維持することが大切です。

しかし、悪玉菌も完全に排除されるべきではないのです。その理由とは…?

悪玉菌はなぜ必要?なぜいるの?

悪玉菌には体にとって悪い影響がある一方で、健康維持に欠かせない役割も担っています。

悪玉菌が全く存在しない場合、腸内のバランスが崩れ、かえって健康に問題を引き起こすこともあります。以下、悪玉菌が持つ意外な役割について見ていきましょう。

①腸内フローラのバランス維持に貢献する

悪玉菌は、善玉菌と拮抗(きっこう)し合うことで腸内環境のバランスを保つのに役立っています。もし悪玉菌が一切いないと、腸の機能が過剰に活性化し、過敏性腸症候群のような症状が出ることもあります。適度な悪玉菌が存在することで、腸内フローラは健康的なバランスを保ち、腸の働きが正常に維持されるのです。なお、悪玉菌と善玉菌は、それぞれが産生する代謝産物を交換し合うことで、互いの生存を支え合っています。例えば、ある種の悪玉菌が産生する物質が、善玉菌の栄養源となるケースもあります。

②免疫システムの刺激と防御反応の強化

悪玉菌は、免疫システムに適度な刺激を与え、体の防御反応を強化する役割もあります。悪玉菌が一定数存在することで、免疫細胞が活性化し、細菌やウイルスと戦う力が高まります。悪玉菌は私たちの体を外敵から守る「トレーニングパートナー」としての役割を果たしているのです。適度な刺激が免疫システムを鍛え、より強固な防御機能を築くことができるのです。

③消化・吸収を助ける働き

悪玉菌の中には、消化や栄養吸収を助ける働きを持つものがあります。例えば、大腸菌の一種であるEscherichia coli(大腸菌)は、ビタミンKの合成・ビタミンB群の産生・短鎖脂肪酸の生成に関わっています。

悪玉菌がもたらすデメリット

上述の通り、悪玉菌は適度な量であれば体にとって一定のメリットがあります。

しかし、増えすぎると腸内環境が乱れ、体に悪影響を与えることとなります。ここでは、悪玉菌がもたらすデメリットも見ていきましょう。

悪玉菌が増えすぎると、腸内でアンモニアやフェノールといった腐敗物質が発生し、腸内のpH値が乱れやすくなります。また、一部の悪玉菌は腸粘膜を直接的に傷つけ、腸の防御機能が低下し、様々な健康問題につながる可能性があります。

さらに、悪玉菌によって生じた有害物質が血液を通じて全身に巡ると、老化の促進や肌トラブル、体臭や口臭の原因ともなります。

悪玉菌を増やさないためのポイント

悪玉菌は完全に排除する必要はなく、適度な量で腸内に存在させ、善玉菌と悪玉菌のバランスを保つことが重要です。

以下、悪玉菌と上手に付き合い、腸内環境を健康に保つための生活習慣やポイントをご紹介します。

①バランスのとれた食生活

腸内フローラを整えるためには、食事の内容が大きな影響を与えます。

善玉菌のエサとなる「食物繊維」や「オリゴ糖」を多く含む食材を意識して摂取しましょう。具体的には以下のような食材が推奨されます。

食物繊維の多い食材オリゴ糖を含む食材
野菜(キャベツ、レタス、ほうれん草など)玉ねぎ、にんにく、バナナ
豆類(大豆、黒豆など)大豆、蜂蜜、さつまいも
果物(リンゴ、バナナなど)大麦、ゴボウ

これらの食材は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑える効果があります。

また、ヨーグルトや納豆、キムチなど、発酵食品も腸内環境を整えるのに役立つため、日常的に取り入れたい食材です。

②規則正しい生活リズムを保つ

不規則な生活は腸のリズムを乱し、腸内環境にも悪影響を与えます。早寝早起きを心がけ、毎日一定の時間に食事を摂るようにしましょう。また、適度な運動も腸の動きを活発にし、腸内の悪玉菌の増殖を防ぎます。

特にウォーキングやストレッチなどの軽い運動が効果的です。

③ストレスを溜めない

ストレスは腸内環境に大きな影響を与えます。強いストレスが続くと腸の働きが低下し、悪玉菌が増えやすくなるため、リラックスできる時間を確保しましょう。リラクゼーション法としては、深呼吸やヨガ、趣味に没頭する時間を持つことなどが効果的です。

④適度な水分補給

水分不足は便秘の原因となり、悪玉菌が増えやすくなります。

1日に1.5〜2リットル程度の水分をこまめに摂取することが理想です。特に食物繊維の多い食事と組み合わせると便通が良くなり、腸内環境が整います。


まとめ

本記事では、悪玉菌がなぜ必要なのか、その必要性・存在意義について解説してきました。

要点を以下にまとめます。

  1. 悪玉菌は、消化・吸収を助け、免疫機能を高める役割もある
  2. 善玉菌と悪玉菌で、お互いのエサを生成し合う等、腸内フローラのバランスを取っている
  3. 悪玉菌が免疫システムの強化をしてくれてる

悪玉菌は、適切なバランスであれば健康に寄与する重要な存在です。単に「悪い」ものとして排除するのではなく、その役割を理解することが重要です。

バランスの取れた食生活や健康的な生活習慣を心がけることで、悪玉菌を含む腸内環境全体の健康を維持し、より良い健康状態を実現することができるでしょう。

腸内環境の健康は、全身の健康につながる重要な要素です。本記事の情報を参考に、自身の腸内環境を整え、より健康的な生活を目指してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすひとつの方法として「乳酸菌生産物質のサプリメントを摂取する」のもおすすめです。ご検討ください。

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